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『バケツ』 北島行徳
図書館で予約していて数ヶ月待ちの本が、最近連続して届いたので、サスペンスものを立て続けに読んでいた。どれも有名な作家さんで、娯楽としては面白かった。けれど、「ただ読んだだけ」感が残って、なんとなく満足感に欠けていた。どうも最近の私には、以前必死に呼んでいた殺人事件の謎を解くとか恨みつらみの話が出てくる本はいまいちピンとこないようだ。

予約本を取りに行った時、久しぶりに棚をぶらぶら眺めていたら、ある一冊が気になった。

バケツ バケツ
北島 行徳 (2005/09/07)
文藝春秋

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どんな内容なのか、作者がどんな本を書いているのかなどの知識は全くなかったが、読み終わって久々に心がほっとした本だった。

話は、日サロ通いのマッチョな神島大悟。見た目に反して気が弱く小心者。神島が、養護施設の指導員として働き始める。そこで一人の少年と出会う。知的遅れのある「バケツ」こと里谷和人。バケツの家庭事情から、神島はバケツと共同生活を始めることになる。神島は養護施設と方針の違いで退職し、その後、日サロ、無認可保育園、老人介護サービスと、小心者とは思えない行動力で仕事を始めていく。しかし、それぞれの仕事での色々な厄介ごと、バケツの世話と神島のお腹が痛くなるような悩み事は絶えない。けれど、困難を乗り越える度に、神島とバケツは次第に家族のようにお互いが大切な存在になっていく・・・。

話の中には、養護施設の体罰まがいのしつけ、育児放棄の母親、子供への虐待、老人の介護(ただし、この本では女装が趣味というおじいさんの世話をするという話で一風変わっている)と、自分と関係なければ極力避けて通りたいような内容がでてくる。

私は、だいたいこういう社会問題を含めた内容を見ると、自己反省に陥ってしまい「自分は何もできない人間だ」と重たく受け止めてしまいがちだが、試行錯誤する神島とバケツのコンビがいることで、深刻になるところが、ふっと笑えたり、神島の対応の仕方から、飾らない、建前などない優しさや温かみが伝わってきて、登場人物達が素直に素敵だなと思えた。弱気な神島が少しずつ精神的に強くなっていくように、バケツが自立しようと成長していく様子に、元気がでた本だった。

読み終わった後、いつもよりも掃除にやる気が出たのであった 笑


  
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